《山内龍雄の画家ノート》
山内龍雄が絵について、制作について書いていたノートが何冊か残っています。
その中の二つを紹介します。
…芸術には真に新しいもの、独創などは無い、
すべてのものは、それまでの歴史の偉大な諸要素を受け継ぎ、
その上に、現代のほんの少しの特性が生かされているに過ぎない
歴史に埋れ、見過ごされた宝物の、ホコリを払うだけでいい
その時代が要求するものを探し出し、磨き、改めればよい
いわば古典の中に新しさを見出すヒントが隠されているのだよ
君は、よく感性を研ぎ澄ましそれを現実化すればいい。
-山内龍雄・「雑感」より-
芸術に於いて その作品を真に理解することは 余程、難しいことである。
なぜなら芸術は余人の及ばぬところのものを 君の前に指し示すからだ。
もし君が それを真に理解しようと思うなら 君自身が作品の高みに達しなければならないが、
一般に芸術は芸術家自身をも越えて存在するもの
芸術家は精神と身体の極限において得られた稀有の真実を奇跡的に取り出しその生まれたての、
未だ無名の作品は遥か未知なるものとして存在し続けるのである。
しかし例外もある、それは少数の天分者、その眼差しは深遠な作品の内奥に達し、
その細胞の一片に至るまで見透し、もはや人智を超えた力を具えているからである。
-山内龍雄・「雑感」より-
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